2009年度の首都圏における中学入試の受験者数は過去最高を記録した昨年を上回る54,000人でした。受験率は17.5%でしたが、10年前の11.8%と比べ6%の伸びというのも驚くべき数字です。
このように受験競争が厳しさを増す中、中学受験をめざす子どもたちが置かれている現在の状況を見ると、「本当に子どもたちのためなのだろうか?」という疑問を我々は感じずにはいられません。
小学校での学習内容が大幅に削減されている一方で、入試問題の出題範囲やレベルに大きな変化はありません。中学受験のための学習内容も以前と変わっていませんので、これは相対的な受験勉強量の増加を意味しています。加えて、これまで試験科目を「2教科」としていた中学校が「2教科・4教科選択」に切り替える傾向にあるため、4教科で勉強する受験生の割合が増加しています。明らかに低下している学力を考えれば、受験生の負担はますます重くなっていると考えられます。
それに拍車をかけるように、大手進学塾では、これまで以上に授業時間を増やす傾向にあります。このことは、さらにゆとりのない環境に子ども達が置かれることを意味します。小学生らしい家庭生活だけでなく、復習をするための時間さえも確保しにくい状況です。
また、中学入試の合格最低点のほとんどが55~65%の間に分布しているという事実からも問題点が見えてきます。「65%の理解」ができずに不合格になる子どもたちが多いということ…中学受験という大波に翻弄され、消化不良の学習をしている中学受験生の姿が浮かび上がってきます。65%で合格できるのであれば、もっと違ったアプローチができるはずです。指導者の力量が問われる問題でもあります。
アイ・エル・エスでは、「中学→高校→大学→社会人」とつながる子どもたちの将来を長期的に考え、1つの通過点に過ぎない「中学入試」を効果的に活用することを提案します。中学受験に振り回されるのではなく、子どもらしい生活の中に「中学受験」を組み込んで、時間を有効に使いながら「学習方法」「学習習慣」をしっかり身につける──「合格する力」は当然のことながら「自ら学ぶ力」も育つ中学受験を目指します。