Norton Mobile Essentialsを使う

月刊モバイルプレス(技術評論社)99年2月号より


普段会社や自宅で使っているパソコンを持ち出して外出先からモバイルをすると外線識別番号(0発信や9発信など)、市外局番、アクセスポイントの電話番号などいちいち設定を変更しなければいけません。
ましてやそれが海外となるとこれらの変更だけでは無く、地域設定を見直し国番号、海外通話識別番号(いわゆる001の様な物)等の設定、さらにはパソコンの内部時計の変更なども必要になってきますが、設定画面が分散しているため手間がかかり大変です。そんな煩わしさからモバイラーを解放してくれる便利なソフトが発売になりました。Norton Mobile Essentialsです。

これまでのオペレーション

筆者はこれまで誌面でご紹介したようにBIGLOBEのローミング接続サービスを活用して海外からインターネットへのアクセスやメールの送受信を行ってきました。
海外ローミングアクセスポイントの設定はiPASSウィザードを使ってダイアルアップネットワークに簡単に追加できますが、いくつもの国や地域を設定すると多くのネットワーク設定ができあがってしまいます。

また通信するためにはコントロールパネル内のモデムの設定で、ダイアルのプロパティから、国・地域、市外局番、外線発信番号などを変更していちいち登録する、あるいは以前に登録した内容を呼び出すなどをしてパソコンの設定を変更する必要があります。

また同じ地域でも、ホテルの外線を使う場合と事務所から発信する場合等で外線発信番号が異なるときなどもあり、設定はますます複雑になってきます。
すなわち、海外では数多くの設定項目からその場所で通信をするために必要な組み合わせを選んで設定していく必要があり、それこそ組み合わせをメモしておくなり記憶しておかないと以前通信できたのに設定が分からなくなった!と言う事態に陥りかねませんでした。
また、筆者の経験上、同じ地域からのアクセスでもあってもホテルからつながるアクセスポイントと会社の事務所からつながるアクセスポイントで違うと言うこともしばしばありました。
すなわち”A国のB地域でC地点からアクセスするならアクセスポイントDへつなぐ”と言うことをさせるための環境設定Eの構築が必要なのですが、WINDOWSではこの環境Eの構築を簡単に行うことが出来ず、毎回過去の経験を思い出しながら個別のを変更して環境Eをいちいち構築しなければなりませんでした。

一発で変更したい

これだけ設定が複雑になると、それこそ旅の疲れた頭では適切な設定ができあがるために紆余曲折を経ることも少なくありません。
以前つながった場所でつながらないとそれこそいらいらしてきます。いっそうのこと環境設定Eを丸ごと登録して、毎回その設定を呼び出して簡単に適切な環境に変更したい!と常々思っていました。これを可能にしてくれるのがNorton Mobile Essentialsです。
実際にこのソフトをインストールしていくつかの設定を登録しておくと、Location ControllerのLocation Change機能よりプルダウンメニューから自分が設定登録したEを選択するだけで設定した環境でパソコンが切り替わる様になります。

すなわち一度設定してしまえばそれを呼び出すことで簡単に環境が変更できるということです。
その上、ディスクトップ上に現れるActive Dial-Up Networkingアイコンをダブルクリックすることで、設定した現在地に最適なアクセスポイントへのダイアルアップネットワークが現れるので、アクセスポイントをいちいちダイアルアップネットワークのグループから探し出す手間も省く事が出来ます。

Norton Mobile Essentials

Norton Mobile Essentialsには海外に行くモバイラーにとって便利な機能が提供されています。

Location Controller
これはいくつもの固有の環境設定を登録して切り替えが出来るように機能を提供する物です。数ある設定項目の内、主な機能としては

Dialing:国コード、市外局番、外線発信番号などの設定
Dial-Up Networking:使用するダイアルアップネットワークの設定
Time Zone :時計の設定

などがあり、そのほかにもプリンターや立ち上げるソフトの指定などを設定する項目があります。これらの設定をLocationに名前を付けて登録出来るので、次回以降はその名前を選ぶだけで、環境を切り替えることが出来るようになります。

Before You Go
その名の通り、出かける前に実行する事を目的とした機能で、ウィルスチェック、ハードドライブのスキャン、モデムのテスト、バックアップの実行や、選んだ地域のモバイル情報の提供などを行ってくれます。

このうち、筆者に取って有益なのは国名や都市を選ぶことで現地で必要となる電源アダプターやモジュラージャックの形状が映像で確認出来る機能です。最近ではマルチに対応できる変換ジャックも入手可能ですからいちいち確認する必要も無くありつつありますが、個別に変換プラグを持っていく予定がある場合は便利な機能と言えるでしょう。

尚、この機能を使って変換プラグをオーダーすることも可能になっていますが、日本から注文可能かどうかは未確認です。

Connection Doctor
モデム、パソコン、回線などをチェックしてその結果を表示し、問題がある場合はその解決のヒントを提供したり、ユーザーのため設けたテストサーバーを使って電話回線のトラブルの原因をつきとめてくれる機能があります。


使ってみた感想

Norton Mobile Essentialsは大変便利なユーティリティーソフトです。特に海外でモデムを使って通信をするユーザーにはお薦めのソフトです。しかし不満が無いわけではありません。特にメニューやヘルプが全て英語であることは一部のユーザーにとっては非常に使いにくいという印象を与えるでしょう。
また、To Do ListやNorton Mobile Essentialsを使ってのモバイルグッズの注文などの設定も少なくとも日本人が日本で使うには使い勝手がよくありません。あくまで、海外で買った英語のソフトを買って使っているんだと言う割り切りが必要かも知れません。

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