ヨーロッパでのモバイル通信

月刊モバイルプレス(技術評論社)99年1月号より


海外にも日本のグレ電のような通信用設備を持った公衆電話があればなぁとつくづく思うのは海外へ行くモバイラーの共通の欲望ではないだろうか。日本ほど町中や公共施設に通信環境が整備されている国は無いのではないかと思う。
日本の携帯電話だって他の国に比べればかなり小型である。パソコンだって日本ほどスリムな小型のパソコンが容易に手に入る国はない。通信だってグレ電のみならず、携帯電話やPHSだって手段が選べる。よく、電子メールが発達していると言われる欧米に比べたってこれほどまでモバイラーに環境を提供している国は日本以外は無いのではないかとすら思うのである。
そう言った気持ちを常に抱きながら海外を転々としているのであるが、よく使うフランクフルトのマイン国際空港とロンドンのヒースロー空港に我々モバイラーに最適な公衆電話があり重宝している。今回は両空港の通信環境をご紹介したいと思います。

イギリス

ロンドンのヒースロー空港第四ターミナル出発ロビーにはRJ11とUK BTタイプのジャック付きのクレジットカードで使用できる公衆電話が設置されています。

場所は出国手荷物検査場を抜けた所の右側の公衆電話コーナーで、位置的にはVATの還付を受けるカウンターの隣位に位置します。

この公衆電話コーナーの中には座って話せる電話が4台ほど設置されており、その中の2台に電源とモジュラージャックが設置されています。
使用方法は
(1)PCと電話器の下にあるモジュラージャックをつなぐ
(2)モジュラージャックは英国タイプとRJ11の2つのタイプがあり RJ11は右側

(3)ハンドセットをはずす
(4)クレジットカードを読みこませる
(5)デイスプレイにDIAL NUMBER NOWと表示されたら*77をダイヤルする
(6)受話器を置く
(7)PCから発進

尚、ヒースロー空港第四ターミナルを使用する航空会社で日本へ乗り入れているのは英国航空だけのため、日本航空や全日空と入った日本の航空会社を利用する場合はこのターミナルとは異なり使用することができません。
ちなみに確認した限り、日本の航空会社が使用しているヒースロー空港第三ターミナルではそのような公衆電話がありませでした。

ドイツ

フランクフルト・ライン・マイン国際空港の第二ターミナル内にRJ11タイプのモジュラージャックと電源コンセントを備えた公衆電話が設置されています。
場所はD5カウンター前付近で公衆電話コーナーの壁側に設置されています。

この電話はロンドン同様にクレジットカードで使用できます。
使い方はおおよそいかのような感じになります。なお、このコーナーに設置されている電源コンセントはSEタイプと呼ばれる丸2ピンのコンセントで、電圧は230Vです。

使用方法は
(1)壁にあるモジュラージャックとパソコンのモデムをRJ11タイプのモジュラーケーブルでつなぐ

(2)電話機本体の受話器をはずす
(3)クレジットカードをスリップさせて読み込ませる
(4)電話機本体のプッシュボタンで”#1”をダイヤル
(5)PCから発信
(6)通信が終わったらパソコン側でダイヤルを切る
この第二ターミナルは日本航空が使用していますので日本へ出発の前、或いはフランクフルト到着後にメールの送受信が可能です。
一方、全日空やルフトハンザ航空が使用している第一ターミナルには同じ様な電話が設置されていません。しかし筆者が知る限り唯一、ルフトハンザ航空のウエイティングラウンジ内には設置されていますので、ルフトハンザ航空でビジネスクラスを使う場合は使用することが可能です。使い方はロンドンの電話よりは幾分簡単で、クレジットカードを読み込ませたあと、指示通りに電話機にあるファンクションキーを押して行くだけです。

使い方は第二ターミナルの方法とは若干異なり以下のような感じになります。
(1)パソコンのモデムと電話機本体右下にあるモジュラージャックを日本と同じRJ11のモジュラーケーブルでつなぐ
(2)ジョワキをあげる
(3)クレジットカード挿入
(4)クレジットカード取り出し
(5)ディスプレイからwaitの文字が消えたらF2ボタンを押す
(6)その後F1ボタンを押す
(7)PCから発信
(8)ジョワキを戻す
(9)通信が終わったらPCの回線切る
ただ、フランクフルト・ライン・マイン国際空港の場合、第一ターミナルと第二ターミナルはスカイトラインと言われるシャトルでつながっており、往来が自由にできますので第一ターミナル使用の場合でも時間があれば第二ターミナル内のモジュラージャック付き公衆電話を使用することができます。
ただ、フランクフルト空港は大きいので、移動に十分な時間を見ておく必要があります。筆者の測定に寄れば、一番端のターミナル1、コンコースAからターミナル2の通信用電話がある位置まで約10分位かかりました。

お断りとお願い
上記は98年4月から9月にかけてロンドン、フランクフルトの空港で実際に調査・通信した結果に基づいて執筆していますが、場合によっては他の場所に同様の設備があっても見落としている場合もあります。

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