月刊モバイルプレス(技術評論社)98年12月号より
海外出張へ行く際には機内に持ち込む手荷物は少ないほど身軽で楽ちんです。ところが最近は機内に乗り込むまでの待合室や空港ロビーにモバイラー向けに電源設備や通信環境を備えた飛行場も増えてきて、待ち時間にメールの送受信ができるチャンスが広がりつつあります。また、次の仕事に備えて機内でパソコンを使うと言う場面も増えつつあるのではないでしょうか?
ここで問題になるのが電源です。せっかく空港に電源設備があるのに日本のコンセント形状と違うと言うだけで使えなかった。機内では電源が確保できないからバッテリーが心配。そのためには何種類もの変換プラグを持ち歩く必要があるの?機内で長時間使うにはいくつもの予備バッテリーを何本持っていくの?、結局あれもこれもで大荷物になり重たくなった鞄を持ち歩く羽目になってしまいます。
そこで今回は少しでも体力を消耗しないためのお薦めの便利グッズをご紹介したいと思います。
昔、”速さは力なり”と言うコピーがありました。これを電源コンセントが無い機内の環境で使うパソコンに当てはめると”バッテリーの持続は力なり”となります。長時間の使用を前提とする際の準備はフル充電したいくつかの予備バッテリーを手荷物で持ち込むと言う事になりますが、何故か高いメーカー純正の大容量バッテリーを何本も用意している人はそれほど多くないと思います。
またせっかく大容量バッテリーを使用したところで機種にも寄りますが4時間から5時間位の使用にしか耐えられず、出発前のロビーなどで使用した場合には機内では3時間ぐらいしか使えないと言った事態に陥ります。例えば、太平洋路線やヨーロッパ路線等の長距線に乗った場合、機内にいる時間は10時間以上にもなり、出発前の時間を合わせると半日以上の時間があります。全ての時間をパソコンに当てるわけにも行きませんがせめて半分近くの時間が余裕を持って使えるぐらいの環境が欲しい物です。しかし、現状ではそのためには2〜3本の大容量バッテリーが必要になりそうです。
そんなユーザーの声を反映した様な商品が発売になっています。モバイルプレス10月号の3ページでも紹介されていますがエナックス株式会社から発売になっているパワーバッテリーという商品です。これはリチウムイオンを使ったパームレストのような大きさの汎用性外付けバッテリーで、富士通、IBM、東芝、NEC、SONY、PANASONICなどの各種パソコンに対応しています(対応機種の詳細はエナックス社のホームページhttp://www.enax.xo.jpで知ることが出来ます)。これをパソコンの内蔵バッテリーと併用する事でおおよそ8時間の使用が出来る(カタログ値)という優れ物です。使用方法は至って簡単で付属のケーブルをパソコンのACアダプターのコネクターにつなぐだけです。この時、パソコン側ではあたかもAC電源に接続されているかのように認識されます。
このパワーバッテリー1本あれば何とか移動中の使用には耐えられますからいくつも予備バッテリーを持ち歩くよりは効率的です。ところでこのパワーバッテリーは先にも書いた通りパームレストのような大きさです。このために狭い機内で使うとなるとテープの上に置くわけにも行きません。機内でのお薦めの使い方は接続したパワーバッテリーは座席の下へ置いて使うのが便利かも知れません。また、最近パワーバッテリーは人気の通称銀パソと言われるパソコンに似合う色合いの製品を発売しました。VAIOと並べると色合いが似ているのが分かるかと思います。
余談ですがこれなら機内でも、海外でも使って注目を集めるのは間違いないでしょう。
最近は空港のロビーや航空会社のラウンジ(ファーストクラスやビジネスクラスのお客専用の待合い室)でパソコンが使える環境が整いつつあります。このような環境が整ってくる機内の手荷物にパソコンのACケーブルを忍ばせて待ち時間にパソコンでも使ってやろうというのが我々モバイラーの人情というものかも知れません。
ところが電源コンセントの形状は言葉の違いと同じように国によって異なっており、いったいどのような形状のコンセントがあるのか行ってみないと分からないと言うのが多くの人が抱える不安かも知れません。かといって限られた機内手荷物に全てのコンセント変換プラグを持ち込むにはつらいものがあります。
これはもう、目からウロコ商品というか、コンセント変換器の革命児的な商品というか、とにかくとってもアイディア商品なのです。一言で言うならサスコム一つで世界中のほとんどのコンセントに対応できる訳でもっとビジュアルに説明するなら写真3の左側にあるこれまで持ち歩いていた各種コンセント変換アダプターが右側のサスコム1個に取って代わると説明すれば分かりやすいでしょう。
サスコムは絶縁体を有するプラグ差し込み用ピン2本と日本のコンセントを差込用の口があるサスコムMと呼ばれる部分とアースピン対応を主目的とするサスコムSと呼ばれる2つのパーツから成り立っています。特にサスコムMはV字型になっていて開きの角度が自由に変えられるためピンのコンセント差し込み口に柔軟に対応できるようになっています。
例えばイギリスで多く見かけるBFと呼ばれる の様な形のコンセントの場合、まずサスコムSをアース穴に差し込み、次にサスコムMを差し込み、日本のプラグをサスコムMにつなげば完了です。
これまで空港の待合い室でパソコンを使うためにいくつもの変換プラグを持ち歩いていた筆者ですが、サスコムを購入して以来、出先のコンセント形状を事前に確認する必要もなくサスコム1つで全て対応できるので荷物の量も減り大変便利になりました。
まだまだ大きい、重いと言う不満はあるものの、以前に比べてモバイル端末も小型、軽量化になってきました。しかし、端末大きさだけでなく、持ち歩くアクセサリーももっと進歩して欲しい物です。
そんな中、今回ご紹介した2点は”なんで今までなかったの?”と思わせるアイディア商品で、是非揃えたいグッズの一つです。