3.準備編(現地で準備する物)

月刊モバイルプレス(技術評論社)98年10月号より


飛行機の機内は日頃の雑踏から解放され、自由な時間を謳歌できると言う人が結構います。それは外部との連絡が取れない空間で、日頃電子メールや携帯電話で追いかけられている人にとっては天国のような空間だからかも知れません。
かく言う筆者もその一人で、こうして今回の原稿も機内で書いていたりするのです。ところが、最近は機内にデータポート付きの衛星電話や、簡易オフィス空間を装備した飛行機まで登場しています。近未来は機内といえどもオフィスの延長になるのでしょうか?話が多少ずれてしまいましたが、今回は宿泊先のホテルの部屋を簡単なサテライトオフィスにする準備編です。
モバイラーにとっての生命線とも言える回線確保。何と言ってもこれは必須のものでこれをいかに準備するか!で海外からの通信の成否が別れると言っても過言では無いでしょう。”いかに準備するかって、部屋にあるかないか何だから準備では無いだろう”とおっしゃる方もいるかと思いますが、部屋の何処にデータポート用のモジュラージャックが用意されているのか、いざというときの対処方法などを知っておく必要があります。通信の成否を左右するモジュラージャック、これは与えられる物ではなく、自ら準備する物なのです。

作戦1:部屋の電話をチェックすべし

第一のチェックポイントは部屋に備え付けの電話機です。
ほとんどがベットの横に備え付けられていると思います。先ずは電話機を持ち上げ、隅々までチェックして下さい。どこかに通信用のモジュラージャックの入り口があれば海外通信準備編の8割が終わったも同然です。
もし見つからなければ電話機に接続されているコードがはずれるかどうか確認してみましょう。運良くモジュラージャックでつながっているようであれば、通信の時に外して端末につなぎ変えることで対応できます。

作戦2:壁に耳有りジャック有り

作戦1に失敗したら次にチェックすべきポイントは壁です。
電話機につながっている電話線を手繰っていき壁の状態をチェックして下さい。モジュラージャックで壁でつながっているようであれば端末を壁のジャックとつないで対応できます。
或いはローゼット式のコンセントでつながっているようであれば変換コネクター経由でつなぐこともできます。また、最近よく見かける例として電話とは別に壁に通信用のジャックを設けているホテルもあります。
このような場合、多くは部屋の机の近辺に設置されてるようです。これなら机の上に端末を置いて快適な環境が構築できます。

作戦3:バスルームに隠せれたものとは

作戦1、2に破れたら作戦タイムでバスルームへ行きましょう。
実はバスルームはモバイラーにとって最後のかけ込み寺なのです。一般にビジネス客が利用するようなホテルにはバスルームにも電話が備え付けられている場合が多く見受けられます。これはお風呂に入っていても電話の呼び出しが可能なようにとの配慮から設置されているのですが、この電話こそ最後のチェックポイントです。
バスルームに備え付けられている電話の多くは壁掛けタイプです。そしてほとんどがモジュラージャックでつながっているのです。運良く電話が壁からはずせるようであれば外して電話機の裏をチェックして下さい。もしモジュラージャックなら躊躇なく外して使いましょう。

・こんな時は二股コネクター
たまに遭遇するのがビジネスフォンの様な電話が設置されている場合です。
この場合の電話とは外線へつなぐ場合等に特定のボタンを押すタイプのことです。こう言った電話の場合、電話機本体から電話線がはずして端末につないでも発信発信することができません。
ではどうしたら良いでしょうか?その時に役立つのが二股コネクターです。使い方は電話機から外したケーブルを一方につなぎ、用意した2本のケーブルを反対側にある2つの口へつなぎます。
この内の一本を電話機へ、残りを端末につなぎます。通信時には電話機の受話器をはずして外線へつなぎ、そのままの状態で端末からダイヤルを発信すれば通信を行うことができます。さてこの時、受話器からノイズが入るのを防ぐために布団などで隠しておくことをお薦めします。

・現地で買える物
通信で必要なアイテムの忘れ物があった場合どうしましょう?
次にあげる物は現地での購入が比較的楽な物です。特に空港にある電気製品を扱っているショップでは容易に購入できます。ただし、必ずしも日本から持ってきた製品向けとは限りません。忘れ物が無いことが無いことに越したことはありませんがいざというときのために覚えておきましょう。

・電源の取り方
さて回線が確保されたら次は電源の確保です。
ホテルの電源確保で問題になるのはコンセントの形状の違いの克服とロケーションです。最近こそパソコンユーザーを意識して備え付けの机の近くにコンセントを設けているホテルが増えてきましたが、まだまだ多くのホテルの場合、コンセントは掃除用に用意されているだけで我々モバイラーの都合などは一切考慮されていません。
そのため、ジャックの位置とコンセントの位置が離れすぎていて不便を感じる物です。
そこで是非とも用意していただきたいのがテーブルタップです。
スイートルームに泊まるのでなければ5mもあれば十分でしょう。実はテーブルタップにはもう一つの効果があります。最近はパソコンの他にも電源を必要とする物を多く持ち歩きます。
ホテルの部屋にはいくつもコンセントがありませんからテーブルタップを使って複数のコンセント、それも日本のコンセント形状!、に分けておくのはとても便利です。ところで国によるコンセント形状の違い克服ですが、先月号で紹介したサスコムは使ってみてとても便利です。是非皆さんも試してみて下さい。

・またまた登場いざというときの洗面所
実はこの間、アメリカ、ヨーロッパとまわったときに途中でバゲージロスト(預けた荷物が行方不明)になるハプニングに遭遇してしまいました。
運良くパソコンは手荷物で持っていたのですがコンセント変換コネクターがトランクの中でした。手元に残されたACケーブルは部屋のコンセントにはつなぐことができさず、バッテリ−はどんどん無くなって行き困ってしまいました。
ところがくのホテルには洗面所の壁に写真の様なコンセントがあるのをご存知でしょうか?これは100Vと220Vの電源を購求しているコンセントですが、これは電気シェーバー等の小電力用のコンセントでドライヤーなどは使えないよ!と言う表記がされています。ではPCはつなぐことができるのかどうかと言うことになりますが、筆者の経験では使えました。ですから最悪はこのコンセントを使ってPCの充電ができるというのは覚えて置いて損のないことだと思います。

・電話のかけ方
滞在したホテルで通信を行う場合、外線通話のための方法の確認。
ホテルから外線に電話をかける場合、電話番号の前に9や0をダイヤルする場合が多く見受けられます。この場合、パソコンに指示する番号設定は9,123−456−7890の様に外線認識番号+カンマ+アクセスポイント先の電話番号と言う形になります。この時カンマ(,)は間を取るために設ける物ですから、外線へつながるまでしばらくかかるようなホテルの場合はカンマを増やしてみましょう。

まとめ:チェックポイント!!!
  • 部屋に電話にデータポートはあるか
  • 部屋の電話はモジュラージャックでつながっているか
  • 部屋の電話線は壁からはずれるか
  • 壁にモジュラージャックはあるか
  • 風呂の電話はモジュラーでつながっているか

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