2−1準備編(国内で調達する物)

月刊モバイルプレス(技術評論社)98年8月号より


海外に着いて忘れ物に気づいたり、必要なソフトがインストールされていなかったりするとモバイラーにとっては危険な状況になります。特に海外となると国内とは違い簡単に物を調達したり助けを求めることが出来ません。そこで海外での通信でトラブルに見舞われないようにするためには事前に必要な物を準備したり、通信端末の設定・確認などが必要で、今回は海外から通信するために必要な機材とはどのような物か、特に日本で調達する必要がある物は何なのかを押さえておきたいと思います。また次号では事前に押さえておきたい環境設定やテストについて考えてみます。現地へ行ってからあわてないためにもしっかり押さえておきましょう。

<電圧の違いを克服する為の方策>

先月号でも触れたように世界各国で電圧は異なりますから誤った使い方をするとACアダプターを破損することになります。海外でACアダプターを破損した場合、代該品を調達することはほとんど不可能ですし、以後通信機器が使えなくなりますから十分な注意が必要です。
対策その1:海外対応のACアダプターを使う
ACアダプターをよく見てみましょう。写真1の様に”INPUT:100V〜240V”と表記がされているACアダプターであればまずは安心です。
これは入力電圧が100Vから240Vまで対応しているという意味ですから海外でもそのまま使うことが出来ます。ところが一昔前までの機器に付属しているACアダプターの多くは写真2の様に100Vのみ対応した製品ですので、このようなACアダプターを海外で使う場合は変圧器で電圧を100Vに変換してつなぐ必要があります。
ところで筆者はVAIO505EXノートを海外に持ち歩いていますが、本体のACアダプターは100Vから240V対応になっている物の、純正CD−ROM用ACアダプターは100Vのみ対応と言う様に、アクセサリーと本体でACアダプターの仕様が異なる場合もありますので、トラブルを未然に防ぐためにも電源コンセントに差し込む前に十分確認する事をお勧めします。
対策その2:変圧器を使う
電圧を100Vへ変換するトランスのことです。これを使えばトランス側の出力コンセントは100Vになっていますので、日本の電圧にしか対応していないACアダプターでも使用することが出来ます。しかしトランスは外観が小型であっても結構重たいのが欠点です。トランスは同時につないで使用できる消費電力容量が決まっていますが、パソコンと外付けCD−ROMをつなぐ程度であれば写真3にある50W(50VA)程度のトランスで十分です。また、海外旅行用のトランスには熱器具用と精密機器用の2種類があります。パソコンをつなぐのであれば精密機器用を選ぶようにしましょう。

<コネクターの違いを克服する為の方策>

国によって電圧が違うように電源コンセント(プラグ)の形状も異なります。そのために現地のコンセントに日本で使っているコンセントプラグを差し込めるように形状を変換するコネクターが必要になります。しかしこれらはモバイラーだけの必需品ではないのでデパートの旅行用品売場や大きな電気店、スーパーで比較的容易に手に入れることができます。また、アイ・ツーではインターネットによる通信販売も行っていますのでお近くで購入出来ない方にお勧めです。さらに成田空港の第二ターミナル4階のAUDIO SPACEでも扱っているのでもし買い忘れて空港に着いてしまった場合の為にも覚えておいてください。
変換コネクターは重くはありませんがかさばるので持っていく種類を絞りたくなるのですが、海外で日本のコンセント形状に変換するコネクターを入手するのはほぼ不可能に近いですからいくつかの種類を用意した方が良いでしょう。と言うのも筆者の経験から現地のコンセント形状をいったんヨーロッパ標準の2ピンコンセントへ変換、さらにそれを日本のコンセントが差し込める形へ変換すると言った2段ロケットのような方法で変換しなければ行けない場合もありますので保険のためにも多くの種類を持ち歩くことをお勧めします。

<モジュラーの形状の違いを克服するための方策>

日本ではRJ11と呼ばれる規格のモジュラージャックが使われています。この規格は米国でも採用されているので日本で使用している電話の配線ケーブルをそのまま使うことができます。一方やっかいなのが欧州地域です。ヨーロッパではローゼットと呼ばれるいわゆる電源のコンセントの様なさし込み型になっていて、その上、このさし込み口の形が国によって異なるというまさにモバイラー泣かせの地域です。従ってその国で使われているローゼットとモジュラージャックをつなぐための変換コネクターが必要になります。
そこでお勧めなのが写真4にあるWorld Connectと言う製品です。これ1つでフランス、ドイツ、ロシア、イギリス、日本式と5種類のモジュラージャックへ変換してくれると言う便利品で、アイ・ツーのインターネット通信販売でも購入することが出来ます。 ところがで筆者もこれまでヨーロッパ各国で通信をしてきましたが、持参した変換コネクターのお世話になったことは幸いにも一度もありません。と言うのもビジネスの出張で泊まるようなある程度著名なホテルでは多くの場合部屋に備え付けられている電話機や、部屋の壁にRJ11タイプのモジュラージャックが用意されています。

<モデムについて考えてみる>

海外での通信のために普段使っているモデムを持っていくか、あるいは本体に内蔵されているモデムを使うことになりますが、ちょっとやっかいな話があります。それはモデムなどの通信機器というのは使う国毎に決められた規格に適し、認定を受けた製品を使う様に定められているのです。従って杓子定規に言えば海外で通信を行うにはその国で、その国の規格に適合したモデムを使うことになります。しかしこれではモデムの数が国の数ほどになってしまいますし、いちいち現地でモデムを探してまわる手間もかかり大変です。
そこで世界各国の規格に対応できるPCカード型のモデムも製品化されているので紹介します。 TDKの”DF2814C/336”は世界70カ国以上の通信規格に認定を受けた製品で、且つ、モジュラーコネクターの変換キットもオプションとして用意されています。
では、現地で規格に適合していないモデムを使用すると通信できないのか?と言うとそれはノーです。つまり多くの場合、自己の責任において自分の国で購入したモデムを使うことになります。
さて、ここまでは必ず用意すべき物をご紹介しました。次に持っていくと何かと便利な物をご紹介します。

モデムセーバー
回線の種類によっては過電流が流れている可能性があり、そのままモデムを差し込んでしまうと壊れてしまう場合があります。モデムセーバーは回線を簡単に測定するためのチェッカーで、点灯するランプの色の組み合わせにより診断することができます。
電源の延長ケーブル
ホテルでパソコンを使って通信する場合、モジュラージャックの位置の近くに電源コンセントがあるとは限りません。特にホテルの部屋には掃除用にコンセントが一カ所位しかない場合が多く、且つ離れた位置にある場合が多いです。そこで、延長ケーブルが必要になり、これがあればコンセントが離れた位置にあっても電源を近くまで引っ張ることができます。また、パソコンだけでなく、日本から持ち込んだ複数の電気製品を使えるように写真5の様にコンセントが2〜3口取れるテーブルタップが便利です。
電源の延長ケーブル
ホテルでパソコンを使って通信する場合、モジュラージャックの位置の近くに電源コンセントがあるとは限りません。特にホテルの部屋には掃除用にコンセントが一カ所位しかない場合が多く、且つ離れた位置にある場合が多いです。そこで、延長ケーブルが必要になり、これがあればコンセントが離れた位置にあっても電源を近くまで引っ張ることができます。また、パソコンだけでなく、日本から持ち込んだ複数の電気製品を使えるように写真5の様にコンセントが2〜3口取れるテーブルタップが便利です。
モジュラーケーブル&モジュラー用コネクター
通信のためにモジュラーケーブルを用意するのは当然ですが、もう一つ便利な物があります。それは写真6の様なモジュラー用コネクターです。何故便利か?その使い道、技については今後ご紹介していきます。

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